老後支出575万の内訳をClaudeに検証させたら、見落としが1つあった

FIRE計画書に「老後支出575万/年」と書いてある。月48万。この数字は何度も見直してきたつもりだった。

住居・食費・旅行・光熱費・税社保——項目を並べて積み上げた数字だ。医療費も「日用品その他150万」の中に含めている。

ところがClaudeに内訳を一つずつ検証させたら、1つだけ見落としていた項目が出てきた。


575万の内訳——項目ごとの検証結果

まず全体の構成を確認する。

カテゴリ 年間(万円)
住居(固定資産税・保険・修繕積立) 90
食費(外食込み) 120
交通費 10
旅行・趣味 125
日用品・光熱・通信・その他(医療費含む) 150
税・社保 80
合計 575

Claudeとのやり取りでは、4つの論点を確認した。

論点1:医療費の計上

「日用品その他150万に医療費を含んでいる」と答えたら、Claudeに内訳の確認を求められた。

光熱費24〜30万・通信費9万・日用品15万・医療費30〜40万で計78〜94万。残り56〜72万が雑費。外食は食費120万に含まれているため、150万の内訳として無理のない水準だった。問題なし。

論点2:前半・後半の支出変化

「旅行125万は身体が動く65〜75歳の数字で、85歳以降は実態と乖離するのでは」という指摘があった。

数字で試算してみると:

期間 旅行・趣味 医療費(推計) 合計
65〜75歳 125万 25万 約575万
75〜85歳 70万 45万 約545万
85〜95歳 10万 70万 約500万

後半は旅行費の減少が医療費の増加を上回るため、合計はむしろ減る。575万は後半に向けて保守的な設定だった。問題なし。

論点3:税社保80万の根拠

「この80万はどう計算したか」と聞かれて、答えられなかった。以前のClaudeとのGrillセッションで算出された概算値だったからだ。

試算すると:年金所得税約20万・住民税約25万・介護保険料約10万・後期高齢者医療保険料約12万=約67万。80万はやや保守的な推計値として概ね妥当だった。問題なし(ただし推計値として注記)。


見落とし:取り崩し課税が「二重計上」でも「未計上」でもない問題

3つの論点はすべてクリアした。しかし4つ目で引っかかった。

計画書の取り崩しシーケンスに、こんな注記がある。

65〜78歳(13年):特定口座7,700万を年575万で取り崩し
※年間課税:含み益部分の約20%(年50万程度)

Claudeに「この50万は生活費575万の税社保80万に含まれていますか?」と聞かれた。

筆者の答え:「考えていなかった」

これが見落としだった。


取り崩し課税50万の正体と影響

税社保80万の内訳は「年金所得税・住民税・介護保険料」——つまり毎年発生する収入ベースの税と保険料だ。

一方、特定口座取り崩し時の50万は「資産を売却するたびに発生する含み益課税」であり、別のカテゴリだ。575万の生活費を確保するために特定口座を取り崩すと、その含み益に20.315%の税がかかる。この50万が575万の外側にある。

実際のインパクトを試算:

期間 取り崩し課税 理由
65〜70歳(5年) 約50万/年 → 250万 年金未受給・フル取り崩し
70〜78歳(8年) 約9万/年 → 72万 年金284万+iDeCo200万=484万が入るため取り崩しは年91万に激減
13年累計 約322万

70歳以降は公的年金とiDeCo年金で支出の84%がカバーされるため、特定口座の取り崩し自体が激減する。それに伴って課税も激減する。

「50万×13年=650万の見落とし」ではなく、実質322万だった。


1.6億の資産規模での影響

322万という金額を1.6億の資産に対して見ると、約2%の誤差だ。

3.5%ルールで計算すると:

前提 年間必要額 必要資産
現計画(取り崩し課税別) 575万 1.643億
取り崩し課税込み(65〜70歳換算) 約625万 1.786億

標準シナリオ(1.6億)では65〜70歳の5年間だけ年625万が必要になる計算だ。ただしこの期間は取り崩しで対応できる範囲であり、計画の根幹は揺るがない。

「見落とし」ではあるが、「計画が崩れる見落とし」ではなかった。


Claudeと検証して気づいたこと

575万という数字を何度も見てきたのに、「取り崩し課税は生活費の外にある」という視点がなかった。

筆者のプロンプト:

計画書の取り崩しシーケンスに「含み益課税年50万」と書いてあります。この50万は生活費575万の税社保80万に含まれていますか?

Claudeの返答(要約):

含まれていません。税社保80万は年金所得・住民税・社会保険料という「収入ベースの定常的な負担」です。特定口座の含み益課税は「資産売却時に発生するトランザクション課税」で別カテゴリです。65〜70歳の5年間は年50万程度の追加コストとして認識が必要です。

「収入ベースの税」と「売却ベースの税」が別物だという整理は、言われてみれば当然だ。しかし自分で作った計画書の中で、2つの税が同じバケツにあると無意識に思っていた。

計画書の数字は合っていても、「何が入っていて何が入っていないか」の認識がずれている——これがFIRE計画の見落としの典型的なパターンだと思う。


まとめ

老後支出575万の内訳検証で出た結論:

  • 医療費・前後半の変化・税社保80万:いずれも問題なし
  • 取り崩し課税50万が575万の外側にある:累計322万の未計上コスト(1.6億の2%)

大きな問題ではないが、認識しておくことで「65〜70歳の5年間は取り崩しがやや多くなる」という計画精度が上がる。

自分で作った数字でも、外から検証されると見えていなかったものが出てくる——これがClaudeと計画書を詰める理由だ。

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