フリーコンサルに転換するとき「法人化すべきか」をClaudeに試算させた話

FIRE計画の年表には「42歳でフリーコンサルに転換」と書いてある。想定年収は600万円(週3日稼働)。

この転換を具体的に設計しようとしたとき、必ず直面する問いがある。「個人事業主のままでいいか、法人化すべきか」だ。

なんとなく「年収が上がったら法人化」という認識はあった。しかし「年収いくらで」「なぜ」という基準が曖昧なままだった。Claudeに一つひとつ試算させたら、判断の根拠が数字で出てきた。


「なんとなく個人事業主」では甘い

フリーランスへの転換を検討するとき、法人化の話は後回しになりやすい。「まず稼いでから考える」という発想だ。ただし、この判断を後回しにすると2つのリスクがある。

一つはiDeCo枠の問題。個人事業主なら月6.8万円(年81.6万円)まで拠出でき、全額所得控除になる。法人化して役員になると、企業型DCを別途設置しない限り、iDeCoの枠は月2.3万円に縮小する。この差は年54万円の所得控除の差だ。

もう一つは社会保険の法人負担。法人化すると健康保険・厚生年金への加入が義務になり、会社(=自分)が保険料の半額を負担しなければならない。年収600万の場合、この法人負担分だけで年90万円前後になる。

「法人の方が節税になる」という話は聞いたことがあった。しかしこの2点を計算に入れると、話が変わってくる。


Claudeに年収別で試算させた

筆者のプロンプト:

年収600万円・42〜60歳18年間のフリーコンサルを想定しています。個人事業主と法人化(役員報酬設計)の手取り差を試算してください。経費率15%、iDeCoは個人事業主月6.8万・法人役員月2.3万で比較してください。

Claudeが出した試算をもとに、年収別の比較をまとめた。

年収600万の場合

項目 個人事業主 法人化
iDeCo控除 81.6万(月6.8万) 27.6万(月2.3万)
社保(個人負担) 国保+国民年金 約86万 健保+厚生年金 約90万
社保(法人負担) なし 約90万
法人維持コスト なし 約25万
所得税+住民税 約37万 約58万
実質手取り 約305万 約175万
個人が年130万有利

18年間の累計差:約2,340万円

法人化によって給与所得控除(最大195万)は使えるが、社保の法人負担分とiDeCo枠の縮小が大きく、600万の年収では個人事業主が圧倒的に有利だ。

年収900万の場合

年収が上がると差は縮まる。

年収 個人手取り 法人手取り
600万 約305万 約175万 個人+130万/年
900万 約465万 約418万 個人+47万/年
1,000万 約524万 約471万 個人+53万/年

900万でも個人が有利だが、差は130万→47万に縮む。給与所得控除の効果が大きくなるためだ。ただしiDeCo枠の差(54万/年の控除差)は消えない。


1,200万で逆転する理由

1,200万を超えると状況が変わる。

個人事業主のまま年収1,200万を稼ぐと、課税所得は700万近くになり、所得税率が23%帯に突入する。このあたりから法人化の所得分散戦略が機能し始める。

具体的にはこうだ。法人化すると役員報酬の金額を自分で設定できる。年収1,200万の売上に対して役員報酬を600万に抑え、残りの420万を法人に留保する。

  • 個人の課税所得が下がり、所得税率が10%帯に収まる
  • 法人留保分は法人税23.2%で課税(個人の33%より低い)
  • 留保した資金は将来の役員退職金として退職所得控除を使って受け取れる

Claudeの試算(要約):

1,200万の売上で役員報酬600万・法人留保420万の場合、個人の手取り(419万)と法人留保(法人税後303万)の合計は722万になります。個人事業主のまま1,200万を稼いだ場合の642万を上回ります。差は約80万/年です。

年収 個人手取り 法人(分散戦略)
1,200万 約642万 約722万 法人+80万/年

逆転した。


計画書に入れた判断基準

この試算を踏まえて、計画書に次の基準を追記した。

フリーコンサル法人化の判断基準:年収1,200万を2年連続で超えた時点で税理士に法人化試算を依頼する。

「2年連続」という条件は、単年の跳ね上がりで法人化の手続きコストをかけることを避けるためだ。法人設立・登記費用と税理士への依頼は初期で30〜50万かかる。一度法人化したら解散もコストがかかる。1,200万が安定して続くと確認できてから動く方が合理的だ。


結論:600万では迷う必要がない

試算全体を通じて、フリーコンサル転換時に最も重視すべき変数はiDeCo枠だとわかった。

個人事業主として月6.8万を18年間拠出すると、累計所得控除は1,468万円。税率20%で計算しても約294万円の節税効果になる。この枠を法人化で月2.3万に縮小することのコストは、600万の年収では法人化のどのメリットでも取り返せない。

逆に言えば、個人事業主のままiDeCoを最大限活用することが、600万の年収では最も確実な節税戦略だ。法人化の検討は年収が安定して1,200万を超えてからで十分間に合う。


自分でも試せるプロンプトテンプレ

同じ試算をClaudeでやりたい人向けに、使ったプロンプトを残す。

以下の条件で、個人事業主と法人化(役員報酬設計)の
実質手取り差を年収別に試算してください。

- 想定年収:[  ]万円(将来的に[  ]万円まで伸びる可能性あり)
- フリーランス期間:[  ]年間
- 経費率:[  ]%
- iDeCo:個人事業主なら月6.8万・法人役員なら月2.3万で比較
- 配偶者の就労状況:[  ]

特に①社保の法人負担分、②iDeCo枠の差、③法人税と所得税の
税率差を含めて計算してください。

「なんとなく法人化した方がいい気がする」という直感より、年収別の数字で比べた方が判断が早い。Claudeに試算させると、どの年収水準で判断が変わるかが一目でわかる。


まとめ

  • 年収600〜900万:個人事業主が年47〜130万の手取り優位。iDeCo月6.8万枠と社保法人負担が決め手
  • 年収1,000〜1,100万:ほぼ横ばい。税理士に要確認
  • 年収1,200万以上(安定):所得分散戦略で法人化が年80万以上有利になる

「稼いでから考える」でいいが、「いくらになったら考えるか」の基準だけは今決めておく。そうしないと判断が後回しになり続ける。

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