Claudeに4%ルールを検証させたら、自分の計算が甘かった

以前、Claude Codeに2時間詰められてFIRE計画書を作った。10ページに及ぶその計画書の土台にあったのが「4%ルール」だ。資産の4%を毎年引き出せば資産は枯れない——そう信じて、必要資産額を逆算していた。

ところがある日、ふと思った。「この4%って、日本人の自分に本当に当てはまるのか?」

Claudeに聞いてみたら、見落としを1か所指摘された。


4%ルールの前提——意外と知られていない「出どころ」

4%ルールの起源は1994年に発表された「トリニティスタディ」という米国の研究だ。米国株と債券を組み合わせたポートフォリオで、30年間にわたって毎年資産の4%を引き出し続けても、95%の確率で資産が枯れなかったというデータが根拠になっている。

日本のFIRE界隈では「年間支出 × 25倍 = 必要資産額」という公式として広まった。シンプルで強力な公式だ。だからこそ、疑わずに使っていた。

「30年・ドル・米国株」という3つの前提

この研究には3つの前提がある。

  • 運用期間は30年(65歳で引退→95歳まで)
  • 通貨はドル建て(米国人の生活費はドル)
  • 投資先はS&P500と米国債

私のFIRE設計は65歳から完全リタイアして取り崩し期間30年を想定しているので、運用期間の前提は一致する。投資先もオルカン中心で大きく外れていない。

問題は通貨だ。


Claudeに「自分の条件で使えるか」を聞いてみた

前回のFIRE計画書作成で懲りたので、今回も先にClaudeに壁打ちしてもらった。入力した条件はこうだ。

  • 完全リタイア年齢:65歳
  • 老後年間支出:575万円(月約48万円)
  • 65歳時想定資産:標準シナリオで1.6億円
  • 取り崩し期間:30年(95歳まで)
  • 生活費:円建て、投資はオルカン中心

筆者のプロンプト:

この条件で4%ルールをそのまま適用した場合、見落としている穴はありますか?

Claudeの返答(要約):

1点、見落とせない問題があります。

円建てリスク:4%ルールはドル建て資産・ドル建て支出を前提にしています。あなたの場合、資産はグローバル株式(オルカン)でドル資産を多く含む一方、支出は円建てです。急激な円安局面では、資産の名目額は増えても円での生活費も同時に上昇するため、実質的な購買力が目減りします。逆に円高局面では資産の円換算額が減少します。この為替ブレを4%ルールは織り込んでいません。

言われてみれば当然だ。4%ルールはアメリカ人がアメリカで老後を過ごす前提で設計されている。円建て生活者がそのまま使うには、為替リスク分のバッファが必要だ。


では何%が妥当か——実数字で計算した結果

「円建てリスクを加味すると何%が妥当か」と続けて聞いた。

Claudeの回答(要約):

オルカン中心・円建て生活という条件では、3.5%前後が保守的かつ現実的な水準です。為替変動のバッファとして0.5%の安全マージンを加えることで、急激な円安・円高どちらの局面にも対応しやすくなります。

3.5%を採用した場合、数字はこう変わる。

4%ルール 3.5%ルール
65歳時資産(標準) 1億6,000万円 1億6,000万円
年間引き出し可能額 640万円 560万円
月換算 約53万円 約47万円
年間支出575万との差 +65万円 ▲15万円

4%ルールでは年65万円の余裕が生まれる。3.5%にするとほぼトントンになる。

3.5%ルールで必要な資産額

3.5%ルールで老後支出575万円をカバーするには、575万円 ÷ 0.035 ≒ 1億6,400万円が必要になる。標準シナリオ(1.6億円)でほぼ達成できる水準で、設計を大きく変える必要はない。

「計算が甘かった」というのはここだ。4%ルールをそのまま当てはめると年65万の余裕があるように見える。だが円建てリスクのバッファを乗せると実質ほぼトントンになる。「余裕がある」という感覚が幻だった。


自分でも試せるプロンプトテンプレ

同じ検証をClaudeでやってみたい人向けに、使ったプロンプトのテンプレを残しておく。

以下の条件で、4%ルールをそのまま適用した場合のリスクを教えてください。
また、私の条件に合った安全な引き出し率の目安も示してください。

- 完全リタイア(取り崩し開始)年齢:[  ]歳
- 取り崩し期間:[  ]年([  ]歳まで)
- 老後の年間支出:[  ]万円
- 取り崩し開始時の想定資産額:[  ]万円
- 主な投資先:[オルカン / S&P500 / その他]
- 生活通貨:円建て

数字を入れるだけで、自分の条件に合った指摘が返ってくる。計算そのものより「自分の前提を疑う問い」がFIRE計画には必要だと、Claudeと話すたびに実感する。


まとめ

4%ルールは「出発点」であって「答え」ではない。

運用期間・投資先はトリニティスタディの前提と一致していても、生活通貨が円である以上、為替リスク分のバッファが必要になる。筆者の場合、4%では「余裕がある」ように見えた数字が、3.5%に修正すると実質トントンだと判明した。

「余裕があると思っていたが、実はなかった」——これが今回Claudeに詰められて気づいた計算の甘さだ。

このシリーズの他の記事も合わせて読むと、計画全体の解像度が上がると思う。

あわせて読みたい:
Claude Codeに2時間詰められた結果、本気のFIRE計画書ができた話
賃貸vs持ち家論争、AIと一緒に自分のFIRE計画に当てはめてみたら予想外の話になった