AI推計の年金額を「どうせ甘い」と疑って実額で確かめたら、逆に多かった話
老後の年金、「たぶんこれくらい」の推計のまま、FIREや老後の計画に使っていませんか。私はまさにそれで、危うく計画を”悲観方向”に間違えるところでした。
私のFIRE計画には、老後の柱として公的年金の額が入っています。ただしこの数字、じつはAI(Claude)にざっくり出させた推計値のままでした。以前、計画を別のAIに詰め直させたとき「年金額は要確認」と宿題に残っていた項目の一つです(その話は「AIと練り込んだFIRE計画を別のAIに詰め直させたら”3種類の穴”が出た話」に書きました)。
今回、その宿題をやっと片付けました。そして——開けてみたら、予想と逆でした。
「どうせ多めに見積もってる、危ないだろう」と思っていた
年金の推計をAIに任せると、なんとなく”甘め(多め)”に出ている気がして不安でした。老後収入の柱ですから、ここが過大なら計画全体が甘くなる。「実額はもっと低いんじゃないか」——そう疑って、ねんきんネットで実際の見込み額と突き合わせにいきました。
結果、実額ベースの見込みは、AI推計より2割ほど”多かった”んです。少なく見積もられていたのは、むしろAIの方でした。
逆算すると、AIは繰り下げ受給(後で受け取るほど増える仕組み)を効かせる前の基準額を、控えめに置いていた。そこに実額との差が丸ごと乗って、想定より上振れした、というわけです。
この差は、老後の”取り崩し”に効いてくる
年金が想定より年2割強も多いと、何が変わるのか。
老後は、生活費に足りないぶんを資産の取り崩しでまかないます。年金が増えれば、その不足額が縮む。私のケースで計算し直すと、年金と私的年金(iDeCo)が重なる時期の取り崩し不足は、当初想定のおよそ半分にまで縮みました。その後の時期も、年金が増えたぶん(およそ2割)不足がそのまま軽くなります。取り崩しのペースが緩やかになるぶん、資産は長持ちします。
つまり今回の検証は、計画の安全余裕を広げる方向の修正でした。
検証は「不安を煽る」だけじゃない。”過度な悲観を外す”のにも効く
ここが、今回いちばんの発見でした。
数字の検証というと、「甘い前提を潰して、安心を削る」イメージがありませんか。私もそう身構えていました。ところが実際は逆で、確かめてみたら想定より良かった。
私の計画には、資産が想定より減ったときに「働く期間を延ばす」「大きな支払いを先送りする」といった”守りのプランB”を用意してあります。年金を低いまま置いていたら、いずれこの悲観プランを、必要もないのに発動しかねませんでした。実額で確かめたことで、その我慢が今のところ要らないと分かった。
過度な悲観を外して、いらない我慢を減らす。これも立派な、検証の成果でした。
ねんきんネットの”落とし穴”:かんたん試算は「今のまま働く」前提
もう一つ、実際にやってみて分かった注意点を共有します。
ねんきんネットには「かんたん試算」がありますが、これは“今の年収のまま65歳まで働き続ける”前提で計算されます。私のように途中で独立したり、働き方を変える予定がある人だと、この数字は実態とズレます。
私は「詳細な条件で試算」を選び、将来この年で会社員をやめる(厚生年金から抜ける)という条件を入れて出し直しました。ここを一手間かけるだけで、見込み額の意味がまるで変わります。自分の将来設計に合わせて条件を置き直すのが、最初の一歩でした。
AIは穴を”見つける”が、”塞げない”——の実践編
前回の記事で「AIは穴を見つけても、正しい数字までは確定できない」と書きました。今回はまさに、その”塞ぐ”側を自分の手でやった回です。
AIは「年金額、怪しいよ」と指摘はできました。でも、正しい額は教えてくれません。実額は、公的な記録(ねんきんネット)を自分で開いて初めて分かる。AIは詰める相手として最高でも、最後に数字を確定させるのは自分——これを地でいく作業でした。
そして確定させてみたら、AIの推計は「甘い」どころか「控えめ」だった。AIの数字は上にも下にも外れます。実額で確かめない限り、どっちに外れているのかすら分からない。だからこそ、面倒でも一次情報にあたる価値がある、と改めて思いました。
まとめ
- 年金額を”推計のまま”計画に使わない——老後収入の柱ほど、一次情報(ねんきんネット)で裏を取る
- 検証は”不安を煽る”だけじゃない——確かめた結果、過度な悲観を外して不要な我慢を減らせることもある
- ねんきんネットは「詳細な条件で試算」——途中で働き方が変わるなら、離脱する年を入れないと数字がズレる
- AIは穴を見つけるが塞げない——指摘は任せ、最後の数字は自分で確定させる
自分の計画のいちばん不安な数字ほど、「どうせ悪い方だろう」と決めつけずに、一度きちんと実額で確かめてみる。良い方に転ぶこともあります。その一手間が、老後の安心にもムダな我慢の削減にも効いてきます。
(そもそもの計画の立て方は「ClaudeでFIRE計画を作る完全ガイド」に、AIに”詰めさせる”やり方は「AIにプランを『詰めて』もらう(Grill Me)」に書いています。)
お金の計画を”自分の数字”で詰めていく記録
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FIRE計画を自分の数字でゼロから組み立てたい方は、プロンプト全文とテンプレをまとめた「Claude FIRE計画書の作り方 完全ガイド」もどうぞ。
※本記事は一個人の実録・検証であり、専門資格に基づく税務・投資・年金の助言ではありません。年金額・制度の扱いはご自身の状況と最新の規定(ねんきんネット等)でご確認ください。