Claude Codeの「grill-me」スキルを使って、30歳コンサルが自分のFIRE計画を本気で詰めた実体験。AIに容赦なく問い詰められて初めて見えた「自分の家計の盲点」を、プロンプトの工夫と一緒に公開します。


はじめに|AI壁打ちはこんなに使えるのか

「Claude CodeにFIRE計画を詰めてもらったら、A4で10ページの計画書ができた」

これが結論です。所要時間は約2時間。AIとの対話だけで、自分の家計・キャリア・住宅戦略・リスク管理まで全部洗い出されました。

私はコンサルとして日常的にChatGPTやClaudeを使っていますが、「ここまで深く個人の意思決定に踏み込めるのか」と正直驚きました。本記事では、私が体験した「Claude CodeにGrillされる」というAI活用法を、再現できる形で共有します。


Claude Codeの「grill-me」スキルとは|AIに詰めてもらう仕組み

Claude Codeは、Anthropicが提供するCLIベースのAIアシスタントです。その中の「Skill」と呼ばれる機能群のひとつに「grill-me」というスキルがあります。

公式の説明はこうなっています。

Interview the user relentlessly about a plan or design until reaching shared understanding, resolving each branch of the decision tree.

意訳すると「ユーザーが立てた計画を、決定木の枝の隅々まで容赦なく問い詰めて、抜け漏れをなくすまで質問し続けるスキル」。

通常のChatGPT・Claude会話との違いは、こうです。

通常の壁打ち grill-me
こちらが質問する AIが質問してくる
答えを与えてくれる 答えを引き出してくれる
表層的な合意で終わる 深掘りが続く
いい感じに丸めてくる 矛盾を指摘してくる

似たことはプロンプトでも実現できますが、スキル化されている分、対話の質と粘り強さがケタ違いでした。


2時間で何が起きたか|実際のGrillの流れ

実際の対話を時系列で振り返ります。

開始30秒:根本動機を問われる

最初の一撃がこれでした。

「なぜFIREしたいですか?今の仕事が嫌なのか、働くこと自体が嫌なのか」

これだけで30秒固まりました。「自由が欲しい」程度のふんわりした認識が、ここで一気に解像度を上げられたわけです。

30分後:家計を全部数字で出される

支出をカテゴリ別にざっくり出したら、即座にこう返ってきました。

「交通費60万円は通勤費ですか?会社負担では?」「食費150万は外食比率次第で30〜50万削減余地があります」

会社支給だった通勤費を二重計上していたことが判明。実態はもっと安かった、というオチでした。

1時間後:計画が一度破綻する

「8,500万円の戸建てを65歳までに完済するつもり」と話したら、ローン返済額の見積もりが甘すぎることを即座に指摘されました。

「8,500万円・27年ローン・金利1%だと、年返済は約338万円です。さらに固定資産税・修繕積立を含めると住居費は年423万円になります」

私は漠然と「ローン返済は年240万くらい」と頭の中で計算していたのですが、その想定は35年ローンを前提にした金額でした。65歳完済を目指すなら期間は27年に短縮され、月々の返済は跳ね上がる。さらに戸建ては管理費こそないものの、修繕は全部自己負担。ここに60万円以上が乗ってくることを完全に見落としていました。

「年240万」と思っていた数字が、実は「年420万」。計画全体を組み直すことになりました。

1時間半後:リスクシナリオで震える

「もし35歳で市場が40%下落したら、計画はどうなるか」

シミュレーションを見せられた瞬間、Coast 達成が2〜3年遅れる現実が突きつけられました。「Sequence of Returns Risk」という概念を初めて意識した瞬間です。

2時間後:A4で10ページの計画書が完成

最終的に、次の項目が網羅された計画書ができあがりました。

  • 30〜65歳の年表
  • 3つのシナリオ(悲観・標準・楽観)の資産推移
  • リスク管理プラン(現金バッファ・アロケーション・保険)
  • 30日/90日/1年単位のアクションリスト
  • 年1回の見直しポイント

AIに詰められて気付いた3つのこと

私自身がコンサルなので、ロジカルに詰めるのは得意なつもりでした。それでも気付かされた点が3つあります。

1. 自分の数字を意外に把握できていない

「年間支出はだいたい600万」と思っていたら、実際は550万。さらに分解したら通勤費の二重計上が見つかり、実態は470万でした。「だいたい」で生きている部分が想像以上に多いということ。

2. 計画の前提が崩れる箇所を見落としていた

ローン返済額を「ざっくり月20万」と低く見積もっていた、修繕費・固定資産税を計算に入れていなかった、暴落タイミングを考慮していなかった──ひとつひとつは小さな見落としですが、合算すると計画が成立しなくなるレベルでした。

3. 「いつでも辞められる」と「実際に辞める」は別物

「Coast FIRE 達成 = 仕事をやめる」と無意識に思い込んでいましたが、本質は「選択肢を持つこと」。これに気付くだけで、達成までの数年間のメンタルが大きく変わります。


自分でやる時のコツ|プロンプトと進め方

Claude Code を使わなくても、ChatGPTやClaudeでも近いことは再現できます。コツをまとめます。

プロンプト例(コピペで使える)

私の[計画の対象:例 FIRE計画/キャリア戦略/事業計画]を
徹底的にGrillしてください。

ルール:
- 質問は一つずつ、深掘りしながら進めること
- 各質問に推奨回答も添えること
- 数字や前提の矛盾を遠慮なく指摘すること
- 抽象的な答えには再質問すること
- 私の答えが甘い時は明確に「甘い」と言うこと

最初の質問から始めてください。

進め方の3原則

1. 数字を出し惜しまない
収入・支出・資産・負債を全部開示すること。AIに「だいたい」と返すと、深掘りの精度が落ちます。

2. 「いい答え」を用意しない
AIに褒めてもらおうとせず、本音で答えること。Grill の価値は「自分でも気付いていなかった本音」を引き出してくれる点にあります。

3. AIの推奨を鵜呑みにしない
最終判断は自分。AIは「考えるための叩き台」を作る道具です。特に税制・保険・法的領域は専門家への確認を必ずしてください。


メリットと限界|AI壁打ちで何ができて、何ができないか

できること

  • 24時間いつでも使える(深夜や早朝の思考整理に最適)
  • 感情を入れずに数字で問い詰めてくる(人間のFPだと遠慮されることもある)
  • 専門知識の引き出しが広い(FIREの理論からシミュレーション計算まで)
  • 何度でもやり直せる(人間相手だと聞きづらいことも気軽に)

できないこと

  • 個別の最新税制まで完全に追えない(NISAやiDeCoの細部は公式情報で要確認)
  • 実際の自分の行動までは読めない(暴落時に本当に買い増せるかは別問題)
  • 配偶者・家族との合意形成は別途必要(数字が出ても、対話は人間同士で)

まとめ|AIに詰めてもらう時代へ

AIは「答えを教えてくれる道具」から、「自分の思考を引き出してくれる相棒」へと進化しています。Claude Codeの grill-me スキルは、その象徴的な活用法のひとつだと感じました。

特に、人生の大きな意思決定──FIRE計画・キャリア戦略・事業計画──には、徹底的に詰める時間が必要です。それを24時間いつでも、感情なしで、深く付き合ってくれる相手として、AIは強力です。

「自分の計画、ちゃんと詰められてるかな」と感じる方は、一度試してみることをおすすめします。


免責事項

本記事は個人の体験を共有するものです。記載された数字・戦略は2026年5月時点の試算であり、特定の投資商品や行動を推奨するものではありません。金融・税務・法務の判断はご自身の責任で、必要に応じて専門家にご相談ください。